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自作短編小説『ホモは月夜に吠える』 [自作小説]

この小説は、某大手新聞社に常駐していて小説家を目指していた頃、職場の後輩の「是非、美男子によるホモ小説を!」という希望をかなえるために書いたものです。
ネタをばらすと・・・この作品に登場する「佐野」という名前は・・・記者の一人にいたんですよ、ホモっぽい人が。加工したニュースを画面でチェックする際、異様に顔を近づけてきたり・・・お尻のポケットに二つ折り財布を入れていたら、「ずいぶん入っているねぇ。少しでいいから、分けてよ~」と言いながら、お尻を撫でてきたり・・・。
結構不快でしたが、憎めないオジさんでしたねぇ。

題名『ホモは月夜に吠える』

 「マスター、実はね……」
 川合の目が少しずつ熱を帯びていくのを、マスターは見逃さなかった。川合は、口の中の苦味を洗い流すように、アルコールをゆっくりと流し込んだ。
 「実は、自分が勤めている会社に、ぴったりの奴がいるんだよ」
 川合の言葉を耳にしてマスターは、知らないうちにカウンターを乾拭きしていた手を止めて、体を乗り出していた。
 「誰、誰? どんな子なの? 今度、お店に連れていらっしゃいよ」
 マスターの癖のある女性のようなしゃべり方に、川合は口元を緩めた。この癖のある女言葉を耳にするようになったのは、いつのころからだったろう……。川合は、口の中のアルコールを、舌の上で転がすように味わいながら、ゆっくりと目を閉じていた。

 いまから三年ほど前、自分は上京してきたばかりで、まだ定職もなく、いつも女の家に泊まらせてもらっていた。それも一人の女だけではなく、一週間に一回泊まる家とともに女を変えていたな……。女をひっかけては泊めてもらい、三度の飯も欲求不満処理も世話になって、すぐに別の標的を見つけると、それまでの女とは「おさらば・バイバイ」。
 そんな罰があたったのか、自分が一番情熱を注いでいた、大本命の女性とのメイク・ラブ中に、自慢のムスコがまるっきり役に立たなくなってしまったんだ。自分に捨てられた女の怨念かな、なんて思ったりもした。
 しばらくは途方に暮れた。そりゃ、そうだ。女に食わしてもらっていたんだから。自分は行くあてもなく、ふらふらと町中をぶらついていた。そこで目にとまったのが、この小さなクラブだ。「クラブ・ホモムーン」。いかにも怪しい店の名だが、気がついたら店のカウンターに向かって座っていた。
 そしてマスターが、自分がしょぼくれている理由も聞かず、特別なカクテルを出してくれたっけ。その名も「ホモ・スペシャル」。

 「ちょっと。ねぇ、ちょっとったらぁ! 川合ちゃん、聞いてるぅ?」
 マスターの女言葉が、川合の回想を中断させた。カウンター拭きは、もう済んだらしい。姿が映し出されるほどに磨かれた、黒い大理石のカウンターに肘をついて、両腕にあごをもたせかけて川合を見つめていた。
 「その子の名前は、なんていうの?」
 「ああ、佐野っていうんだ。佐野龍一郎。23歳、独身」
 「ふぅ~ん、佐野龍一郎ね。龍ちゃんって呼んじゃおっと」
 「はいはい、好きにしてくれ……」
 川合は溜め息混じりに言うと、グラスに入っていた淡い紫色のアルコールを飲み干した。空いたグラスは、優しくカウンターの上に置かれ、その美しさをカウンターに映していた。
 「龍ちゃん……。いい名前だわぁ。うふふ」と、マスター。
 よほど川合の持ってきた情報が気に入ったとみえて、マスターは鼻歌を歌いながら、グラスをタオルで乾拭きし始めた。店内にはマスターの鼻歌が響きわたり、夜が明けるまで止むことはなかった。

 ──いきなり頭の中に鐘が鳴る音が響いた。川合はあわてて目を開いた。音を出していたのは目覚まし時計だった。丸い形をしていて、上の方に鐘がふたつあり、その鐘の間の棒が、左右に動いて鐘を鳴らす古い時計だ。ブラインドのすき間からこぼれる朝日を、まぶしそうに睨みつけ、目覚まし時計を止めた。
 川合は自分の寝室にいた。いつ、どうやって、ここへたどり着いたのかも覚えていない。おそらく、眠ってしまった自分を、マスターが車で送ってくれたのだろう。まだワイシャツを着たままの格好だし……。
 そう思い、川合は胸のポケットに手をすべりこませた。なにやらカードが入っている。まだぼやけている目を凝らしながら、カードに書かれている文字を読む。
 「おはよう、川合ちゃん。お目覚めかしら? 次の来店には龍ちゃんとふたりで来てね。約束よ──クラブ・ホモムーン マスター:ジョニー」
 新しい獲物を心待ちにしているのだろう。やれやれ、これは面倒なことをしてしまったな。どうやって佐野をあの店に誘い込もうかな。
 川合は、自分の可愛い後輩を禁断の道へ引きずりこむ方法を、あれこれと考えながら、身支度を終えて会社へと向かった。

 「先輩、ちょっとプライベートの事で、相談にのってもらいたいことがあるんですが……。今晩、よろしいですか?」
 ふと川合が顔を上げると、デスクの横に190センチ程ありそうな長身で、新入社員のように紺のスーツを着た男性が立っていた。その表情は、緊張のあまり、こわばっているように見えた。
 気づかないうちに、すぐ近くに人が立っていたので、川合は少しだけ不快感を顔に出した。その表情を見て長身の男性は、さらに表情をこわばらせた。
 「おお、佐野か。今晩なら別に、これといった用事もないが……」
 この時、川合の頭にひらめきが浮かんだ。
 「おれ、いい店を発見したんだ。今晩は、その店にいこうぜ」
 川合の言葉を聞いて、佐野は安心したのか、小さく息をついた。こわばっていた表情も、少しだけ和らいだようだ。
 「それじゃあ、よろしくお願いします。川合先輩」
 そう言いながら佐野は、深々とお辞儀をして、自分の仕事場に戻っていった。その佐野の後ろ姿を眺めながら、川合はニヤリと口元を歪ませていた。
 これで材料と舞台は整った。あとは、どう料理するか、だな……。

 仕事を終えたふたりは、アフター5を楽しむサラリーマンやOLたちで賑わう、夜の町中を歩いていた。
 夕方を過ぎると、この町の人口が一時的ではあるが、三倍以上に膨れ上がる。住宅街やオフィス街などという言葉で表現するならば、さしずめ「アフター5街」とでもいうところか。
 川合はすれ違う人の肩を避けながら、「いい店」を目指していた。
 「先輩、どこなんですか? その『いい店』っていうのは。かなり歩いたんですけど、まだ歩くんですか?」
 佐野の表情には、早く相談にのってもらいたいのに、延々と歩かされている不満が、ありありと出ていた。
 「ああ、もうすぐさ。ほら、あそこに──と、ネオンの密集している辺りを指さす──店の看板が見えてきただろう? ちょっとお洒落で、いい店なんだ」
 川合が指を指している方向には、色とりどりのネオンの中で、ひっそりと光っている看板があった。佐野の視界でも、その看板がを捉えられたらしく、ゆっくりと指で、看板に書かれている文字を追いながら、小さな声で店の名前を読み上げた。
 「クラブ・ホモムーン……。先輩、自分は本気で相談にのってもらいたいんですけど
 「何を言っているんだ、おれはいつでも本気だぜ。あそこのマスターはね、人生経験が豊富なんだよ。相談事を持ちかけると、いろいろと、適切なアドバイスをしてくれるんだ」
 川合の言葉に、佐野は少し騙されたような顔をした。しかし自分には、この先輩以外、頼れる人がいない。佐野は心の中で、先輩はそんな人ではない、と自分に言い聞かせながら、川合の後に続いて歩いた。
 そしてふたりは、「クラブ・ホモムーン」の小さな看板の下にある、地下への階段を下り、店内へと入っていった。
 店の扉を開けると、扉の内側についている小さなベルが来客を告げた。川合は馴染みの店だから、いつものようにカウンターの席に腰を下ろし、煙草の葉をつめてから口にくわえた。佐野は自分にとって初めての店ということと、そして名前が怪しいということで、キョロキョロと忙しなく首や目を動かしながら、店内を観察していた。
 小さなステンドグラスに包まれ、暖かな明かりで店内を照らす照明、赤煉瓦風の壁、鏡のように磨かれた黒大理石のカウンター。何も変なところはない。今のところは、だ。マスターがまだ顔を出さない。来客のベルが鳴ってから、もう2分は経つのに……。
 佐野がカウンターの奥の方──ちょうど、グラスなどを置いている棚の影になっていて、よく見えない──を見ていたとき、店内の一番奥の扉から、マスターらしき男が出てきた。おそらく、あの男がマスターとみて、間違いないだろう。マスターは川合に親しげな視線を投げかけてから、佐野の方へと視線を移した。
 例の部屋で、めかし込んでいたな。まったく、マスターときたら……。川合はマスターが出てきた扉を見てから、マスターの方を見た。もうすでに、佐野の方に熱い視線を投げかけている。川合は、口元が笑みで緩むのを手で押さえながら、マスターのこれからの行動に注目することにした。
 「お飲み物は? 新顔さん」と、マスターは、佐野を見つめながら訊いた。マスターの目が、ステンドグラスの光に照らし出され、光を放っているように見えた。相手に動揺を悟られまいと、佐野はつとめて平静を装いながら、口をゆっくりと動かした。
 「マティーニをドライで……」
 「マティーニをドライで!? あら、お強いのねぇ」
 マスターは注文を繰り返してから、後ろの棚に並べられたグラスをそおっと手に取り、カクテルを注いだ。静かな店内に、カクテルを注ぐ音だけが響きわたる。
 佐野は、マスターがグラスを手に取ったときに、小指を立てていたのを見逃さなかった。妙な女言葉に、グラスを持つときに立つ小指、そして自分を見るときの熱い眼差し……。店の名前も怪しいが、どうやら怪しいのは、店の名前だけではなさそうだ。

 佐野は、あれこれと頭の中で今までのことを整理し、自分が置かれている現状を、なんとかして把握しようとした。しかし、現在の材料だけでは、これといって断定できるものは何一つなかった。
 「はい、お待ちどうさま。マティーニのドライです」
 マスターがグラスをカウンターに乗せ、佐野の方へ滑らせた。淡い黄色の液体を小さく揺らしながら、音を立てずにカウンターを滑り、佐野の前で動きを止めた。
 薄暗い照明がグラスを照らし、マティーニの色がグラスを通して、黒い大理石のカウンターに映し出されていた。マティーニの揺らぎを見ているうちに、佐野はまぶたが重くなりつつあるのに気がついた。
 あれ……? なぜ、急に眠くなってきたんだろう。そんなに疲れていたのかな。

 佐野の思考は途切れた。グラスを右手に持ち、左手を枕のようにして、うつ伏せになって眠り込んでいた。
 「うふふ。この子も、揺らぎを見たのね」
 マスターは佐野の寝顔を眺めながら、にっこり微笑んだ。川合の口元は笑みで歪んでいた。自分も初めてこの店に入って、ホモ・スペシャルというカクテルの揺らぎを見て、目が覚めてから世界観が変わったからだ。
 ステンドグラスに包まれている照明の光が、いくつもの屈折を繰り返して、揺らぎを起こすのだろう。
 マスターは顔中に満面の笑みを浮かべ、カウンターから出てきて、佐野の側に寄り添った。猫の背中のように丸まった佐野の背骨を、ゆっくりと優しく指でなぞりながら、佐野の隣の椅子に腰掛けた。
 「ん、ん……」
 佐野の喉の奥から低い声が漏れてきた。マスターは、佐野の反応に気を配りながら、そおっと左手をのばし、佐野の股間にあてがった。マスターの左の手のひらに、佐野の体温が間接的に伝わってきた。
 その温もりを楽しみながら、マスターはまるで、女性の乳房を愛撫するように、佐野の精子生産工場──右足の親指と、左足の親指との間に位置して、常に休むことなく、子どもの種を生産している──を左の指すべてと手のひら全体を使って、撫で始めた。
 「ちょっと待てよ、マスター。おれを忘れてないかい?」
 川合はマスターの肩に手を置いて、佐野に夢中になっているマスターに、自分の存在を気づかせた。マスターは、ゆっくりと川合の顔を見上げると、口元だけを笑みで緩ませた。
 マスターの目は、もっと遊んでいたいと願う、子どものような目をしていた。その目を見て川合は、店内の奥にある扉を顎でさした。マスターは、蔦で装飾を施された扉を一瞥すると、川合の顔を見てそっと頷いた。
 周りの赤煉瓦風の壁が、扉の存在を覆い隠しているように見える。扉は樫の木でつくられていて、鉄製のドアノブがついており、蔦──何の植物かは不明──の彫刻が施されている以外には、これといって何も目立ったものがなかった。

 この扉の向こうには、常連の客以外は知ることを許されない、禁断の部屋があった。今までに沢山の常連客とマスターが、世間には認められない愛を、誰の目にも触れないように楽しみ、育んできた場所である。
 マスターと川合は力を合わせて、体がぐったりとして重たくなっている佐野を持ち上げ、“禁断の愛の巣”へと運び込んだ。扉を開くと、川合の鼻に、生臭い匂いが漂ってきた。部屋の中は薄暗く、いくつかの間接照明が弱々しい光で、白いシルクのシーツに包まれたベッドを、薄暗闇の中で浮かび上がっているように見せていた。
 湿度が高いせいか、空気が湿っぽくて、ジメジメしているように感じられる。しかし、部屋の中に入ってしまうと、ほんのりと甘酸っぱい匂いも感じられるようになり、湿っぽさがあまり気にならなくなった。まるで、黒々と生い茂る密林に覆われた、秘密の花園に入り込んだ感じがした。

 川合が、そおっと佐野をベッドに寝かせていると、マスターが川合の傍らに、音も立てずに歩み寄ってきた。川合の視界に、全裸になり、間接照明に照らし出されているマスターが入ってきた。
 いつのまに全裸になったんだ!? この部屋に佐野を運び込んでから、まだ2分も経っていないというのに。そんなに、このことを楽しみにしていたのか……。
 川合はニヤリと微笑み、マスターに場所を譲った。マスターの目を見ていたら、場所を譲らなければならないような気がしたからだ。自分は、あとから加われば、十分に楽しめるんだ。川合は、そう自分に言い聞かせながら、部屋の隅へ移動し、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。

 「龍ちゃん。さぁ、私たちは、ひとつに結ばれるのよ。永遠に。そう、永遠によ」
 佐野の頭に、聞き覚えのある女言葉が響きわたった。どこで、だれが、しゃべっているのかは、わからない。辺りを見回そうとしても、首が動かない。だいいち、目が開かない。いや、開いているのだけれども、辺り一帯が、光を通さない暗闇に包まれているのかもしれない。
 佐野は、必死に自分の体を動かそうとした。しかし、まるで金縛りにかかっているように、佐野の体は動かなかった。耳元には、人の荒い息づかいだけが聞こえてくる。体中に何かが這い回っているのが、なんとなくだが感じられる。その這い回るものが、何かを確かめることも、動きを止めることもできない。
 這い回るものを身体のうえから落とそうと、身体を左右上下に動かそうとしているのに、自由がきかない。こんなにも近くに人の息づかいを感じるのは初めてだ。くそっ、こんな屈辱は初めてだ。
 佐野は、光をも通さないと思われる、漆黒の闇の中を見つめ続けた。そこに何かが存在するのだけは、聴覚が知らせている。佐野の肌は、そこにいる何かの吐息の暖かさを感じとっている。しかし、佐野の両目は、暗闇の中でうごめくものを捉えることはできなかった。

 「川合ちゃんは下、わたしは上の担当ね。あとで交代してよ。絶対ね。下は後での“お楽しみ”なんだから」
 マスターは、遅れながら全裸になって、ベッドの上のまぐわりに参加してきた川合に言った。やれやれ、また俺は下からかよ。川合は溜め息まじりに、佐野の下半身の方へを身体を移動させた。
 いつのまにか、佐野の両腕はそれぞれ手錠でベッドにくくりつけられ、両足もそれぞれロープで縛り付けられていた。マスターの動きのはやさには、いつも驚かされる。
 すでに、生まれたままの姿にされている佐野の身体を、ゆっくりと眺めた。学生時代にサッカーをやっていた、という話を、本人から聞いていたが、これほどまでに鍛え上げられていたとは。間接照明によって、筋肉に明暗がつき、見る者に溜め息をつかせるほどに、美しく照らし出されていた。まるで、美術の時間に見せられた、ギリシャの彫刻のような筋肉だ。
 川合は佐野の筋肉にそおっと頬をつけ、佐野の肌の暖かさを味わった。佐野の血液の流れ、心臓の鼓動の音、小さな呼吸の音。これらの小さな音が、川合の耳や頬に伝わって来そうなほど、部屋の中は静寂に包まれていた。川合の右手は、佐野の足の筋肉を揉みほぐしてから、次第に上の方へと移動を開始した。
 
 マスターは、佐野の頬を手のひらで包み込むように撫で上げ、頬に優しく口づけをした。耳のすぐ側の頬、頬の真ん中、唇のすぐ側の頬、唇へとマスターの唇は、少しずつ移動しながら、佐野の肌の温もりを楽しんでいた。唇と唇を何度か重ね合わせ、ゆっくりと、自分の舌を佐野の口の中へと挿入させた。佐野の口の中の暖かさが、マスターの舌に伝わってくる。
 舌は唇の裏を這い回り、相手の舌に絡みついた。舌の下へ潜り込み、唾液の粘りを楽しむ。マスターは、佐野の口の中に舌を入れた状態のままで、相手の唾液を吸い尽くすほどに、息を飲み込んだ。
 佐野の口の中の臭いが、マスターの口を伝って鼻孔を刺激する。
 「う~ん、たまんないわぁ。この臭いが、たまんないのよね」

 「・・・たまんないのよね」
 佐野の耳に、またもや聞き覚えのある女言葉が、入ってきた。この言葉遣いは、オカマの疑いがあるマスターのものだ。そうだ、そうに違いない。うっ、なんだ、この口に入ってくるものは。なま暖かくて、柔らかい。思わず、飲み込んでしまいたくなる。くぅ・・・。
 今まで闇で包まれていた佐野の両目が、突然、光を捉えた。すぐ目の前にマスターの顔がある。マスターの吐息が、佐野の頬を撫でる。川合の両腕が徐々に、佐野の下半身を這い上ってくる。
 マスターと目が合った。黒い瞳の中に、自分の顔が映し出されていた。 
「うふふ。奇麗よぉ、あなたの身体。思っていた通りだわ」
 マスターの目が怪しく光を放つのを見た。と、同時に、身体に電撃が走るのを感じた。今まで感じたことのない、全身の力が抜けていきそうな感じだ。ふと、目を下ろすと、自分の裸体と、それに群がる男ふたりが目に入った。精子工場と、排泄物処理工場が、同時に攻められている。このままでは、落城してしまいそうだ。今まで、彼女にも攻められたことがない、排泄物処理工場。そこを、今、男に攻められている。
 「う、うわぁぁ──!!」
 また、佐野の身体に電撃が走り抜けた。どうやら、排泄物処理工場の方が、先に落城しそうだ。急に全身の力が抜けていく。うぅ……。
 佐野が最後の抵抗をしようと、下半身に力を入れた時、排泄物処理工場の屋根がぶち抜かれ、巨大な肉片が挿入された。
 「あうぅぅ────!!」
 “禁断の愛の巣”で、また一人、新たな世界からの洗礼を受けて、雄叫びをあげるのであった……。

<了>


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