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わたしの恋愛10年物語(1) [GBA2005エッセイ]

10年をめぐる、わたしの恋愛物語について書きたいと思います。

まず、中学2年生のとき、初めて会ったナホコに一目惚れしました。
あれは確か、わたしの前に座っていた男子生徒が「可愛いぃ、可愛いぃ、ナホコさ~ん。ティッシュちょ~だいっ」と言っていたのを聞いて、彼の見つめる先にいたナホコを見たときでした。
「ナホコ」と呼ばれた彼女は、その男子生徒に笑顔でティッシュを渡していました。その笑顔を見た時、「なまら、めんこいべやぁ」と思ったのです。
もう、あの笑顔を見るためなら、何をしてもいい。
それほど、可愛い笑顔だったんです。
それ以来、わたしの心の中には、笑顔のナホコでいっぱいでした。いつもナホコのことばかりを考えていました。
ことある毎に、彼女が座っている席の方を見たり、彼女の笑顔を眺めていたり・・・。このわたしの中の熱い想いは、友達に打ち明けることはあっても、彼女に伝わることはありませんでした。
まぁ、中には口の軽い友達がいて、いつの間にか、クラスの全員が知ることになるのですが・・・。

そんな中、1学期の途中で、一人の男子生徒が転校してきたんです。けっこう格好良い男子生徒で、名前はエイジといいました。
彼は、苫小牧から親の仕事の都合か何かで引っ越してきたようでした。
彼は人見知りなのか、すぐにはクラスに馴染むことができずにいて、休み時間を一人で過ごしていることが多かった記憶があります。
窓辺に座って、外の景色を眺めていたりしていました。民家や林に囲まれた、住宅街に建っている学校だったから、窓の外を見ても、それ程楽しいワケじゃないと思うんですけど・・・他にすることがなかったんでしょうね。きっと。
そんな彼と一番最初に仲良くなったのは、何を隠そう(別に隠す必要もないけど)このわたしでした。
体育の授業が終了して、生徒全員が整列していたとき、彼はわたしの隣りに立っていました。わたしの左腕にしている腕時計を見て、「この学校って、腕時計してきていいの?」と聞いてきたのです。
「あ~、よく知らないけど・・・いいんじゃないかなぁ? だって、先生に注意されたことないし・・・」
この会話の後、なぜか二人とも笑ってしまいました。
たぶん、今まで会話したこともない二人が、普通に会話したことが可笑しかったのか、わたしの適当な回答が可笑しかったのか、あれから何十年も経った今となっては、よく分かりませんが・・・。
こんな他愛もない会話が、彼とわたしとの今後の関係のきっかけになったのです。

わたしはこの頃、BOφWYというロックバンドに夢中になっていました。
休み時間や自習時間、図工や美術の授業など、ことあるごとにBOφWYの歌を歌っているくらい夢中だったんです。
そのわたしの歌が、エイジの耳に届いたのか、彼がわたしに向かって「お前、今歌っていたのって、BOφWYじゃねぇ?」と聞いてきたんです。
「そうそう、BOφWYだよ。BOφWY。」
そう答えたわたしに、彼は嬉しそうに話しかけてきました。
彼自身もBOφWYの大ファンであること。そのBOφWYの歌の中でも一番好きな歌のこと。ライブビデオで、一番格好良いと思うシーンのこと。
もう、わたしとエイジは、BOφWYという一つのロックバンドを通じて、仲良くなっていました。エイジが氷室京介のパートを歌えば、わたしは布袋寅泰のパートを歌って一つの歌を歌ったり、ライブビデオの真似をしたり。

そのエイジは、中学1年生の頃からバレーボール部にいたようで、転校してきた札幌のこの中学でも、彼はバレーボール部に入部しました。
彼は、仲の良かったわたしをバレーボール部に誘ってきたので、軽い気持ちでわたしは入部しました。
が・・・練習が思った以上に厳しかったし、顧問の先生も厳しかったし、新入部員でバレーボールの経験がないわたしは、サーブやレシーブ、トスなどの基本練習以外することがなかったんですよ。
次第にやる気がなくなってきたのと、父親が自営業で大工さんをしていましたので、その仕事の手伝いもあり、中学2年生の夏休みが終わった頃には途中で退部していました。

こんな中でも、わたしの心の中は、あのナホコで溢れていました。
体育の授業で、少しでも格好良いところを見せようと、いつもよりも張り切ってみたり、休み時間も、ナホコの視線をこちらに向けさせようと、普通に友達と会話しているにも関わらず、オーバーなリアクションをしたり大きな声でしゃべったり笑ったりするようになっていました。
しかし、この中学2年生でいる間は、彼女に自分の想いを伝える勇気もチャンスもありませんでした。

<続く>


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