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わたしの恋愛10年物語(12) [GBA2005エッセイ]

イクコに別れを告げた日の夕方、家に電話がかかってきました。
もちろん、相手はイクコです。
泣きながら「ねぇ、お願い。わたしのところに戻ってきてぇ。」と言ってきました。
「いや、もうそれはできない。」とわたし。

「なんで? なんでダメなの?」とイクコ。
「いや、別にどこもダメじゃないけど・・・。」
「じゃあ、戻ってきてぇ。」
「・・・いや、ダメだ。それはできない。」
「何がダメなの? 教えて。ダメなところは、直すからぁ。」
「・・・・・・」

しばらくの沈黙。

「なんか、もう疲れたんだよ。イクコと付き合っているのが。」とわたし。
「どうしてぇ? どうすればいいのぉ?」とイクコ。

だんだん面倒くさくなってきて・・・

「いや、もういいや。本当のことを言うよ。おれ・・・別に好きな人ができたんだ。だから、これ以上、イクコとは付き合えない。」
そう言って、電話を切りました。
2時間くらいの電話でしたよ。ホントに疲れましたよー。

まぁ、別れた理由は、別に付き合っているのが面倒になっただけではなかったんですけどね。
長々と説明するのが面倒くさかったので、とりあえず「他に好きな人ができた」ということにしておきました。
高校3年生にもなれば、大学へ進学するのか、就職するのか、選択する時期になります。

わたしは就職することを心に決めていました。
自分の家が、自営業であまり景気がよくないことを知っていたし、そんな状況ではわたしの大学進学への諸経費を捻出することも難しいことも知っていました。
だから、高3の夏休みには、札幌で採用試験をうけて、東京で仕事をする会社を探していました。
今までのことを全てキレイに精算して、新たな気分で働きたかったんです。
高校時代のバレーボール部の上下関係とか、過去の彼女との関係とか、そんなしがらみから解放されたかったんですよ。

 

夏休み中、就職担当の先生から家に電話がありました。
「おい、決まったのか? 行く会社は」
「う~ん・・・2社までは絞れたんですけど・・・」
わたしが候補にあげていた会社は、一つは北海道に本社があって、入社と同時に東京へ5年くらい研修に出るというところ。もう一つ(TランスCスモス)は、本社が東京にあって、入社と同時に東京で勤務するというところ。

「TランスCスモスは、いいぞ。オススメだぞ」と先生。
その自信はどこからくるのか? 分からないけど、TランスCスモスを推す就職担当の先生。
「じゃあ、TランスCスモスにします」と、わたし。
こんなあっさり決めていいのかよ、って感じで、就職先を決めました。

TランスCスモスの札幌支社へ行き、面接や入社試験を受けて、なんとか合格。(面接の時、バスに乗り遅れて遅刻したけど・・・)
札幌採用で、東京勤務という扱いになりました。
他の人たちは女の子ばかりでした。
他の女性社員は、札幌採用で札幌勤務みたいでした。
どうやら、この会社は、全社員の8割は女性社員のようです。
入社前研修とかは、わたし以外は全員女性でしたから、もうハーレム状態。
別に、その中の誰かがわたしに対して好意を持ってくれていたわけでもないんですけどね。
でも、入社前研修中、お昼御飯を食べに行くときとかは、7人の女性に囲まれながら御飯食べたりして、ちょっとした良い気分は味わえましたね。(笑)

研修中、人事担当者から「ダブルのスーツはダメです」とか「ワイシャツは白だけですよ」とか言われていたんですけど、研修前に買ったスーツは水色のダブルのスーツでした。みんなの視線がわたしに集中。
だって、買っちゃったんだもん。仕方ないべやー。

採用が決まったわたしは、荷物をまとめて上京しました。
父親の車(ワゴン車)に荷物をまとめて乗せて、家族で札幌から函館まで行って、そこからカーフェリーにのって青森へ。
青森からはず~っと南下して、東京へ。
途中、盛岡では椀子そばを食べたり、土地土地のモノを食べながら上京しました。
車が東京に入ったときには、驚きましたよ。
高層ビル群、首都高速道路、広い車道、灰色の空・・・。
「これが東京かぁ・・・」


わたしは、武蔵小杉にある独身寮へ入ることになりました。
配属先は羽田にある事務所で、そこで50人くらいで飛行機チケットの情報を入力していました。データエントリーってやつですね。あるいは、パンチャーってやつ。
じぶんをマシンのようにして、ただひたすら、飛行機のチケット情報をダム端末に入力する。
女性ばかりの職場でした。同期社員も女性ばかりで、男性社員はわたしだけでした。
課長曰く、「男性社員を入れて、職場の雰囲気を変えたり、どんなことができるのか試してみたかった」らしいです。
もう、ハーレム状態を通り越しています。わたし一人に対して、女性社員が50人くらいいるんですから。
毎日とっかえひっかえやったとしても、一ヶ月では一周しないよ。
・・・って、何を考えているんだ、わたしは。

 

<続く>

 


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