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わたしの恋愛10年物語(2) [GBA2005エッセイ]

中学3年生になり、クラス替えがありました。
わたしはナホコとは同じクラスにはなれませんでした。

新しいクラスでは、出席番号がわたしのすぐ前の男子生徒であるツトムと仲良くなりました。
彼にも、わたしのナホコに対する熱い想いを打ち明けました。
彼は当時ナホコと同じクラスの女子生徒と付き合っていて、しかも彼女がナホコと友達だったのです。
「もう、言っちゃえよ。『好きです』って告白しちゃえよ。」とツトム。
「ええぇぇ~、そんな度胸あるわけねぇべやぁ~」とわたし。
「おれの彼女にナホコを連れ出してきてもらうから、そこへ行ってナホコに告白しろっ」もう、こうなったら勢いしかない。
わたしは、ナホコに中学2年生から今までの熱い想いを、彼女へ伝える決心をしました。放課後になったら、中学校の1階の階段の影になっている場所に、ツトムの彼女がナホコを連れてきて、わたしがそこへ行き、ナホコに告白する、という段取りでした。

わたしが、ツトムに言われた通りに1階の階段の影になっている場所に行くと、すでにナホコが待っていました。
後を振り向くと、ツトムと彼の彼女がこちらの様子をうかがうように、柱の影からこちらを覗いていました。
胸がドキドキして、息がハァハァして、口の中がカラカラに渇いて・・・。
とりあえず、この想いを彼女に伝えなくっちゃ。
「あ~っと・・・中2の頃から好きだっただよね。それでさぁ・・・おれと、付き合ってくれない?」
勇気を振り絞った台詞が、これですよ。・・・もうちょっと、1年間片思いしていたんだから、告白の台詞も考えておくべきだったんですよねー。

--しばらくの沈黙。
この沈黙は、何を意味しているんだろう?
わたしは告白する前と同様に、告白した後も胸がドキドキしていました。
彼女の一言が、この重苦しい沈黙を破りました。
「うん、いいよ」
えっ? いいの? 思わず驚いてしまいましたよ。このおれが、あのナホコと付き合えるのかよ?
あまりに突然で、予想もしていなかった彼女の言葉に、あの時のわたしの表情は・・・どんな表情をしていたのだろうか。別に、見たくはないけど。

わたしとナホコは二人で、ツトムとその彼女がいるところへ行きました。
「どうだった?」とツトム。
「ああ、OKって言われた」とわたし。
「じゃあ、一緒に帰れば?」とツトムの彼女。
わたしとナホコは、肩を並べて歩きながら、同じクラスだった中学2年生の頃の話や、当時クラスでは有名だった「わたしの好きな相手はナホコ」ということをナホコ本人は既に知っていたことなどを話していました。

・・・なんだよぉ~。中2の頃から、わたしがナホコのことを好きだっていうことを知っていたんだったら、そっちからも何かモーションがあっても良かったじゃねぇかよぉ~。
まぁ、当時から十数年経っている今だからこそ、言えるんですけどね。
その後、彼女とは一緒に下校するようになり、下校途中に公園に寄って二人でブランコを漕いだり、ベンチに座って肩を寄せ合ったり、放課後に会って自転車でデートしたり、誰もいない彼女の家でレンタルビデオ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観たり、「当時上映されていた映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーII」を観に行ったり・・・。
順調に交際を進めていったんです。
いま思えば、とくにお金を使わないデートばかりでしたね。
会うのは、ほとんどが公園だったり、お互いの家だったり・・・たまに狸小路へ行ってウィンドウショッピングするくらいでした。

放課後に公園に向かう途中、わたしが「ねぇ、腕を組んでもいい?」とナホコに聞いてみました。
「いいよぉ」とナホコ。
その返事を受けて、わたしはわたし自身の腕を胸の前で組みました。
それを見たナホコは「もういい」と言って、先を歩き出してしまいました。
・・・渾身のギャグだったんですがねぇ。
とりあえず、その場は、先を歩いている彼女を追いかけて、「冗談だよ、冗談。ごめんよ。」と謝りながら、彼女の手を握ったんです。
柔らかかったなぁ、ナホコの手は。
それ以降は、一緒にいるときは、ずっと手をつないで歩いていましたねぇ。

<続く>


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