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わたしの恋愛10年物語(14) [GBA2005エッセイ]

わたしの住んでいた会社の独身寮に、ヒロミを連れ込んだこともありました。
あのときは、ものすごくドキドキしましたよ。
会社の規則では、独身寮への女性入室は厳禁でしたし。
ルールを破っているというドキドキ感と、ヒロミを自分の部屋に連れ込んで二人きりでいる状態にドキドキしていたのと、両方でしたね。

わたしが当時住んでた独身寮は、埼玉県の戸田公園(戸田市)にあって、結構新しくて、キレイな感じのワンルームの寮でした。
ベッドが電動で上下するんですよ。寝ないときは、ベッドを天上の高さまで上げておけば、その下のスペースを有効活用できるんですよね。
床はフローリングだったし、ユニットバスだったし、けっこう新しくて、ちょっぴりモダンな感じでした。
だって、その前に住んでいた神奈川県川崎市の武蔵小杉にあった独身寮は、マンガ「めぞん一刻」に出てくるボロアパートみたいでしたからねぇ。

で、自分の部屋に連れ込んだけど・・・結局キスするくらいで、ヒロミを帰しました。だって、隣の部屋とかにヒロミの喘ぎ声が聞こえたりしたら、そこから通報されて、「おまえ、女性を連れ込んでいただろっ!」って怒られちゃいますからねぇ。
部屋から出るときも、ドキドキでしたね。
まず、わたしから先に出て、周囲に誰もいないことを確認してから、ヒロミの手を引きながら、走り去るように最寄りの駅に向かいました。

当時、わたしの勤務先は某新聞社への常駐で、ホストコンピュータからニュース情報を呼び出して、記者からの指示を受けて添削などの加工をして、駅やパチンコ屋、タクシーなどの電光掲示板やテレビの文字放送、インターネットなどへ配信する仕事をしていました。
この仕事は、24時間265日のシフト勤務で、土日に休めることって滅多になかったんですよ。だから、必然とヒロミと会うのは、月に1回くらいが精一杯だったんですよ。
このころは、平日に休みがあったり、泊まり明けの勤務があったりしたので、一人でよく映画館に行っていました。
泊まり明けの後、眠いのを我慢して、ジャッキー・チェンの「酔拳2」を観た記憶があります。

そんなことをしているうちに、一人でいる時間が段々充実してくるんですよ。
一人で「独習C」という書籍でプログラミング言語を勉強したり、ゲームに夢中になったり(このころ、ドラクエ6を発売日から1週間でクリアしました)、サーバOSやネットワークなどの技術書籍を読んだり、とにかく自分のために時間を費やしていました。
立派なSEになることが目標でしたし。
そのためには、なるべく勉強のために時間を費やすべきだという考えがあったんですよね。わかりやすく一言でいうと「24時間はオレのもの」。
だから、自分からヒロミに連絡することも、あまりなかったですねぇ。
いつも連絡はヒロミからでした。

そんなある日の夜。
ヒロミから電話がありました。
「おう、久しぶりぃ。元気かぁ?」とわたし。
「うん・・・。あのね、大事な話があるの。こういうことは、ちゃんと会って話さないといけないと思うんだけど・・・」とヒロミ。
「なに?」
「わたしたち、もう別れない?」
「・・・」
突然のことで、何も言えませんでしたね。
「どっ、どうして?」
「だって、いっつも連絡はわたしからばかりだった。あなたから連絡してくれたことあった? それに、月に1回会えるか会えないかなんて、耐えられないもん。」

当時のわたしは冷めていましたからねぇ。
「う~ん・・・そう言われてもなぁ・・・いまはシフト勤務であまり土日に休めないしさぁ~・・・仕方がないよな」
この台詞で、わたしとヒロミの恋愛は終わりを告げたのでした。

電話を切る間際に、ヒロミが言った一言は、今でも胸に残っています。
「わたし・・・もっと、普通の恋愛がしたかった。」

この一言は、わたしの胸に突き刺さりましたね。

 


<続く>

 


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